「派遣労働者の待遇改善に係る自主点検表」の更新

10月6日、派遣労働者の同一労働同一賃金について、派遣元事業主及び派遣先が自主的に点検できるように、「派遣労働者の待遇改善に係る自主点検表」が、更新されました。

原則的には行政から回収を求められているものではありませんが、派遣元事業所としてのコンプライアンスチェックのためにも、ぜひ活用して頂きたいと思います。

点検項目と更新内容を簡単にみていきます。なお、「派遣先用」自主点検表の更新は今回行われておりませんので割愛します。

 

 

◎派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表(派遣元事業主用【労使協定方式】)

 

《過半数代表者の選出等》
1 労働者の過半数で組織する労働組合又は過半数代表者との間において、書面により労使協定を締結していますか?

 

《労使協定の締結単位》
2 労使協定の締結単位は、適切ですか?

※更新事項あり※

 

【点検のポイント】

旧:「待遇を引き下げることを目的として、恣意的に締結単位を分けることは、労使協定方式の趣旨に反するものであり、適当ではありません。

 

新:「恣意的に締結単位を分けることにより待遇を引き下げることは、労働者派遣法の趣旨に反するものであり認められません。

 

⇒旧バージョンにあった「目的として」という文言が使われなくなっています。

仮に「目的」としていなかったとしても、恣意的に組織単位を分けることにより、結果的に待遇を引き下げることになるのであれば、それは認められませんという解釈になるかと思います。

 

《労使協定に定める事項等》
3 労使協定において、必要な事項を定めていますか?
4 労使協定で定めた事項の遵守や、公正な評価の取り組みを行っていますか?

 

《同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の確認》
5 派遣労働者の賃金の決定方法を労使協定に定めるにあたり、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金(一般賃金)の額と同等以上となるよう労使協定に記載していますか?

※更新事項あり※

 

【点検のポイント】

(基本給・賞与等:協定対象派遣労働者の賃金)

旧:「現在、協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額を上回るものとなっている場合に、一般賃金の額の水準に引き下げるなどにより賃金を引き下げることは、労働者派遣法の目的に照らして問題があります。

 

新:「現在、協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額を上回るものとなっている場合に、一般賃金の額の水準に引き下げるなどにより賃金を引き下げることは、労働者派遣法の趣旨に反するものであり、認められません。

 

⇒「問題がある」という表現から、法に反し「認められません」とはっきりとその旨が明記されました。

 

また、旧バージョンでは、「一般通勤手当」の額が「74円」、退職金前払いの場合の率が「6%」と具体的な数値が記載されていましたが、

新バージョンでは記載されていません。点検を行う時点での有効な数値を別途確認し、あてはめる必要があります。

 

《労使協定の周知》
6 締結した労使協定を書面の交付等の方法により、その内容を雇用する労働者に周知していますか?

※更新事項あり※

旧バージョンにはなかった新設項目です。あらためて周知の方法、状況を確認してください。

 

《派遣先からの待遇情報の提供》
7 派遣先から、待遇に関する情報提供を書面の交付、FAX、電子メール等により受けていますか?

 

《待遇に関する事項等の説明》
8 派遣労働者の雇入れ時や派遣時に、待遇に関する明示や説明を適切に行っていますか?

 

《労働者派遣契約の締結等》
9 労働者派遣契約書などに、派遣労働者の同一労働同一賃金に関係して、記載事項として追加された項目を記載していますか?

 

《事業報告》
10 労使協定を添付して、労働者派遣事業報告書を提出していますか?

 

《関係者への待遇決定方式の情報提供》
11 労使協定を締結しているか否かについて、関係者(派遣労働者、派遣先等)への情報提供を行っていますか?

※更新事項あり※

 

【点検のポイント】

旧:「情報提供に当たっては、常時インターネットの利用により広く関係者とりわけ派遣労働者に必要な情報を提供することが原則です厚生労働省の「人材サービス総合サイト」に掲載することも可能とする予定です。」

 

新:「情報提供に当たっては、常時インターネットの利用により広く関係者とりわけ派遣労働者に必要な情報を提供することが原則です(厚生労働省の「人材サービス総合サイト」への掲載をお願いします)。」

 

⇒人材サービスサイトへの掲載申し込みが、サイト上から可能となったことによる記載変更です。自社サイトを持っていない場合などは、活用することが可能です。

 

 

◎派遣労働者の待遇改善に係る自主点検表(派遣元事業主用【派遣先均等・均衡方式】)

 

《派遣先からの比較対象労働者の情報提供》
1 派遣先から、比較対象労働者の待遇に関する情報提供を書面の交付、FAX、電子メール等により受けていますか?

 

《均等・均衡待遇の確保》
2 比較対象労働者の情報を踏まえ、派遣先に雇用される通常の労働者(無期雇用フルタイム労働者)と派遣労働者との間の不合理な待遇差を解消していますか?

 

《待遇に関する事項等の説明》
3 派遣労働者の雇入れ時や派遣時に、待遇に関する明示や説明を適切に行っていますか?

 

《労働者派遣契約の締結等》
4 労働者派遣契約書などに、派遣労働者の同一労働同一賃金に関係して、記載事項として追加された項目を記載していますか?

 

《事業報告》
5 労働者派遣事業報告書を提出していますか?

 

《関係者への待遇決定方式の情報提供》
6 労使協定を締結しているか否かについて、関係者(派遣労働者、派遣先等)への情報提供を行っていますか?

※更新事項あり※(労使協定方式と同様の更新内容です)

 

この自主点検表は原則回収が求められているわけではありませんが、令和5年度適用の労使協定締結に向けて派遣先との交渉、過半数代表者の選出、労使協定書の作成と多忙になる前の時期に、活用することがおすすめです。

なお、点検表は「今後も必要な改訂・改善等を図っていく予定」とのことですので、常に最新のものをご使用ください。

 

 

令和4年10月6日更新(派遣先用の更新はありません)

https://www.mhlw.go.jp/content/000997559.pdf

労使協定方式 自主点検表PDF

 

https://www.mhlw.go.jp/content/000997556.pdf

遣先均等・均衡方式 自主点検表PDF

 

https://www.mhlw.go.jp/content/000780382.pdf

派遣先用 自主点検表PDF

 

厚生労働省ホームページ上には、Word版もあります。

派遣労働者の同一労働同一賃金について(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html

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