10月の職業安定法改正の2つのポイント
10月1日から施行される改正職業安定法について、厚生労働省から業務取扱要領やQ&A、リーフレットなどが公開されました。
今回の改正のポイントは、大きく2つあります。
1つは、新たに届出が必要となる「特例募集情報等提供事業者」の範囲と、具体的な手続きです。
2つめは、求人等に関する情報について的確な表示が義務付けられる点です。
1.届出が必要となる「特定募集情報等提供事業者」とは?
求人情報や求職者情報を取扱う事業者のことを「募集情報等提供事業者」といいますが、この中でも「労働者になろうとする者に関する情報を収集して情報提供に使用している事業者」のことを「特定募集情報等提供事業者」といいます。
氏名や住所などの個人情報はもちろん、個人の経歴やメールアドレス、サイトの閲覧履歴、位置情報なども含みます。
具体的には、以下のフローに従って、1号~4号の特定募集情報等提供事業者に該当する場合は、「特定募集情報等提供事業者届出書」(様式8号の3)の届出が必要となります。
例えば、求人企業からの依頼を受け、求職者の情報を収集して情報提供に使用している場合は、1号事業者として届出が必要となり、求職者情報を収集していなかったり、情報提供に使用していない場合は、届出は必要ありません。
2.求人等に関する情報についての的確な表示義務
事業者に対して、以下の①~⑤の情報すべての的確な表示が義務付けられます。
この場合の事業者とは、職業紹介事業者、募集情報提供等事業者のほか、求人等の情報を扱うあらゆる事業者が含まれます。
①求人情報
②求職者情報
③求人企業に関する情報
④自社に関する情報
⑤事業の実績に関する情報
具体的には、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならず、求人・求職者情報を正確・最新のものに保つ措置を講じなければなりません。
この範囲は、紙媒体、ネット媒体の求人広告はもちろん、ウェブサイト、電子メール、メッセージアプリ、オンデマンドなどのすべてが対象となります。
このリーフレットの例のように、営業職中心の業務を「事務職」と記載したり、固定残業代を採用しているのに基本給に含めて記載したり、求人企業とグループ企業を混同して記載したりするのは、いずれも不適切ということになります。
モデル賃金についても、社内で特に給与が高い労働者の給与をすべての労働者の給与であるかのように例示するのは、不適切となりますので改善する必要があります。
個別の事案によっては行政から是正指導などが行なわれ、悪質なケースは行政処分が行われる可能性もありますので、改正法への十分な準備と対応をしていきたいものです。