令和3年度の「一般賃金」局長通達が公開されました!

令和3年通達厚生労働省は10月20日、派遣法の労使協定方式の「一般賃金」の水準を定めた職業安定局長通達(同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和3年度適用))を公開しました。

局長通達については毎年6~7月に公開されることになっていますが、コロナ禍の影響が雇用・経済を直撃した状況を受けて、公開が秋まで延期されることが7月29日に発表されていました。

通達の構成は基本的には令和2年の内容と同様であり、労使協定方式の賃金水準について2年前の統計に従って数値が更新されていますが、「現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う労働市場への影響等を踏まえた取扱い」が追加され、コロナ禍の状況を受けた「特例」が置かれることになりました。通達には以下のように記載されています。

 


現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済・雇用への影響等がある中で、令和3年度に適用する一般賃金の額について、令和元年又は令和元年度の統計調査等を活用した数値をそのまま適用した場合には、派遣労働者の雇用への影響が懸念される。令和3年度に適用する一般賃金の額については、派遣労働者の雇用維持・確保の観点から、労使協定締結の当事者である労使が十分に協議できるようにすることが必要である。このため、原則として、本通知の第2の1から3までに定める方法により算出した一般賃金の額(以下(2)及び(3)において「一般賃金の額(令和3年度)」という。)を用いることとするが、派遣労働者の雇用維持・確保を図ることを目的として、(2)に定める要件を満たし労使で合意した場合には、4に定める適用日において、令和元年7月8日付け職発 0708 第2号における一般賃金の額(以下(2)及び(3)において「一般賃金の額(令和2年度)」という。)を用いることも可能とする。


 

したがって、一定を要件を満たした上で適正な手続きを取った場合には、この「特例」を適用することにより例外的に令和2年度の一般賃金に据え置くことが認められます。

この場合の要件は、以下の①~④とされています。

 

① 派遣労働者の雇用維持・確保を図ることを目的とするものであって、その旨を労使協定に明記していること。

② 労使協定を締結した事業所及び当該事業所の特定の職種・地域において、労使協定締結時点で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、事業活動を示す指標(職種・地域別)が現に影響を受けており、かつ、当該影響が今後も見込まれるものであること等を具体的に示し、労使で十分に議論を行うこと。

イ 「労使協定を締結した事業所において、労使協定締結時点で、雇用調整助成金の要件(事業活動を示す指標が5%以上減少)を満たしていること」など、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による事業所全体の事業の縮小状況

ロ 特定の職種・地域におけるこれまでの事業活動を示す指標の動向。

③ 労使協定に、一般賃金の額(令和2年度)を適用する旨及びその理由を明確に記載していること。

④ ①の要件に係る派遣労働者の雇用維持・確保を図るために講じる対応策、②の要件に係る事業活動を示す指標の根拠書類及び一般賃金の額(令和2年度)が適用される協定対象派遣労働者数等を、法第 23 条第1項及び第2項の規定に基づく事業報告書の提出時に併せて、都道府県労働局に提出すること。

 

厚生労働省のホームページは以下をご覧ください。

同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和3年度適用)

 

 


令和3年度の「一般賃金」の特例については上記①~④の要件を確実に満たした上で新たな労使協定にこれらの要件を盛り込む必要があるため、労使協定の更新・締結にあたっての事前の準備が非常に大切となっていきます。

これらの実務対応については当センターでも個別のご相談窓口を開設するほか、実務取扱の説明会を開催する予定です。ご相談や相談会へのご参加を希望する方は、以下までご連絡ください。

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