「労働契約申し込みみなし制度」の行政解釈について
厚生労働省が10月1日から施行される労働者派遣法の「労働契約申し込みみなし制度」に関する行政解釈を、4月24日の労働政策審議会で示しました。違法派遣が行われた場合のペナルティーとなるみなし制度の具体的な解釈をめぐっては不安や疑問を持つ向きもあることから、あらかじめ厚生労働省としての考え方が示されたものです。
労働契約申し込みみなし制度について
1 制度の趣旨
違法派遣の是正にあたっては、派遣労働者の雇用が失われないようにして、派遣労働者の保護を図る必要。また、善意無過失の場合を除き、違法派遣を受け入れた者にも責任があり、そのような者に対して一定のペナルティ(民事上の措置)を科すことにより法規制の実効性を確保する必要。これらの理由により創設された制度。
2 論点
申込みを行ったとみなされる時点
ア 総論
イ 善意無過失
ウ 施行日時点で違法行為が行われている場合
エ 違法行為の類型
※いわゆる偽装請負等に固有の論点
申し込んだとみなされる労働条件の内容
ア 総論
イ 労働条件が派遣元事業主等に固有の内容である場合等
ウ 労働契約期間
エ 労働契約法第18条との関係
オ 労働契約法第19条との関係
労働契約の成立の時点
ア 総論
イ 承諾をしないことの意思表示
複数の事業主が関与する等の複雑な事案
第220回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料
内容については基本的に派遣労働者に有利な視点が多く、「申込みを行ったとみなされる時点」については、「2暦日にわたって継続就業するような日単位の役務提供とならない場合を除き、違法行為が行われた日ごとに労働契約の申込みをしたとみなされる」とされ、「派遣労働者が承諾できる申込みは、最新の申込みに限られない」とされています。
みなし制度については10月1日から施行されることが決まっているため、派遣元企業や派遣先企業にとっては喫緊の課題だといえます。ぜひ早めの周知対応に努めていただきたいものです。
派遣法改正に関するご相談は以下をご覧ください。(小岩広宣)
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